Googleは2026年5月、自律型AIエージェント技術の集約に踏み切りました。実験プロジェクトとして知られた「Project Mariner」を5月4日に終了させ、そのコア技術を本体の「Gemini Agent」やChromeの新機能「Auto Browse」に統合しています。本記事では、何が変わったのか、ユーザーには何ができるようになったのかを整理して解説します。
Project Marinerとは何だったのか
Project Marinerは、Googleが2024年末に発表したブラウザ自動操作型のAIエージェント実験です。ユーザーの指示を受け取ったAIが、Chrome上で人間の代わりにマウスやキーボードを操作し、複数ステップにわたるタスクを自律的に進めることを目指していました。例えば「複数サイトを横断して値段を比較する」「フォームに自動入力する」といった操作を試験的に提供してきました。
2026年5月4日:Project Marinerが正式終了
Googleは2026年5月4日、Project Marinerのサービスを正式に終了しました。ただし、これは単なる撤退ではありません。Marinerが培ってきたエージェント技術の中核は、Googleの主力AIプロダクトに吸収されています。
- Gemini Agent:複雑なタスク処理レイヤーとして本体に統合
- Chromeの「Auto Browse」:ブラウザ内の自動操作機能として実装
- AI Mode:AI検索のエージェント機能として展開
Googleは公式に「複雑なタスクにはGemini Agentをお試しください」と案内しており、実験段階から本番プロダクトへの正式昇格と位置付けることができます。
Gemini Agentで何ができるのか
Gemini AgentはGemini 3の高度な推論能力を基盤としており、複雑な指示を分解しながらタスクを完了させます。主な機能は以下のとおりです。
| 機能領域 | 具体例 |
|---|---|
| メール操作 | Gmailのメール整理・アーカイブを自動で実行 |
| 予約タスク | ホテル予約の代行、条件に合うプラン提案 |
| 情報収集 | Deep Research機能で横断的なリサーチ |
| ドキュメント作成 | Canvasと連携して資料・文章を構成 |
| Workspace連携 | Gmail・カレンダー等と連動した予定調整 |
| Webブラウジング | ライブWeb検索を組み合わせた動的タスク |
Chromeの「Auto Browse」が本格展開
ブラウザ側の目玉が、ChromeにGemini 3を統合した「Auto Browse」機能です。サイドパネルから自然言語で指示を出すと、Chromeが複数ステップのタスクを自動で進めてくれます。代表的なユースケースは次のとおりです。
- PDFから情報を読み取り、Webフォームへ自動入力
- 条件に合うホテル・航空券を比較し、最適な週末プランを提案
- 家賃や間取りの条件に合う物件を絞り込み
- 「お気に入りのレストランを3つ予約して」のような複数ステップ指示の実行
当初は米国のAI Pro/Ultra加入者向けに提供されており、Androidについても2026年6月下旬から、Android 12以降・RAM 4GB以上のデバイスでロールアウトが始まる予定です。
「Gemini Intelligence」でOSレイヤーへ拡張
Googleは2026年5月12日に開催した「The Android Show: I/O Edition」で、OSレベルのAI基盤「Gemini Intelligence」を発表しました。これはAndroidスマートフォンだけでなく、Chrome・ノートPC・自動車・スマートウォッチ・スマートグラスといった幅広いデバイスに、エージェント機能を共通レイヤーとして提供する構想です。アプリ単位ではなく、デバイス横断で「AIがユーザーの代理として動く」世界観を、Googleは強く打ち出しています。
セキュリティ:勝手に決済しないための仕組み
自律エージェントへの懸念として真っ先に挙がるのが、「勝手に商品を購入されたら困る」「SNSに変な投稿をされたら困る」という点です。Auto Browseはこの点に対応しており、以下のような操作の前には必ず一時停止し、ユーザーに確認を求める設計になっています。
- 商品購入・決済
- SNSへの投稿
- 重要な個人情報の入力
「完全自律」ではなく「半自律+人間の最終承認」というスタンスです。AIエージェントへの信頼を段階的に構築していく狙いがあるとみられます。
企業向け:Vertex AIは「Gemini Enterprise」へ
同時期に開催された「Google Cloud Next 2026」では、企業向けプラットフォームの再編も発表されています。これまで「Vertex AI」と呼ばれていた基盤は「Gemini Enterprise Agent Platform」へと改称され、Agentspaceなどの関連サービスも統合された「Gemini Enterprise」として一本化されました。コンシューマー向けのGemini Agentと合わせ、Googleはエージェント領域のブランドを「Gemini」一本に集約しています。
まとめ:実験から実用へ、AIエージェント時代の本格幕開け
Project Marinerの終了は撤退ではなく、Googleが「実験プロジェクトを本流に格上げした」と捉えるのが妥当です。Gemini AgentとChromeのAuto Browseが日常的に使えるようになると、ホテル予約・情報収集・書類作成といった「面倒だがありふれたタスク」をAIに任せられる時代がいよいよ実感を伴って訪れます。
一方で、AppleもWWDC 2026でSiri刷新を予定しているとの噂が広がっており、各社のAIエージェント競争はますます加速しています(参考:【WWDC 2026 直前まとめ】M5搭載新Mac・iPad Air・Siri刷新の噂を整理)。今後の日本展開のタイミングや料金プランにも注目していきたいところです。
Google Gemini公式:https://gemini.google.com/
Google Chrome公式ブログ(Auto Browse):https://blog.google/products-and-platforms/products/chrome/gemini-3-auto-browse/



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