Sennheiser(ゼンハイザー)が、同社初のクリップ型オープンイヤーイヤホン「Accentum Clip」を発表しました。ここ数年でオープンイヤー市場は一気に存在感を増してきましたが、今回のAccentum Clipは、その流れの中でもかなりわかりやすい新製品です。耳をふさがず、周囲の音を取り込みやすい設計を保ちながら、ゼンハイザーらしく音質面にもきちんと手を入れてきたことがポイントになっています。
オープンイヤー型は以前まで「ながら聴き向け」「音はそこそこ」という位置づけで見られがちでした。ですが最近は、仕事中、移動中、運動中といった日常シーンでの使い勝手が評価され、各社が本気で取り組むカテゴリーに変わってきています。この記事では、Accentum Clipの特徴を整理しながら、なぜ今オープンイヤー製品が増えているのかまでまとめます。
この記事のポイント
- Accentum Clipはゼンハイザー初のクリップ型オープンイヤー——耳をふさがず、周囲の音も取り込みやすい設計です
- 12mmドライバーとDynamic EQを搭載——オープンイヤーで弱く見られがちな音の厚みを補おうとしています
- 1台あたり6.8g、IP54、最大36時間再生——普段使いと軽い運動の両方を意識した仕様です
- Bluetooth、LDAC、マルチポイント対応——音質と利便性の両方を押さえています
- オープンイヤーが増えている背景——快適性、安全性、長時間装着ニーズの高まりが大きそうです
Accentum Clipとは——ゼンハイザーが“クリップ型”に入ってきた意味
Accentum Clipは、ゼンハイザーのミドルレンジ「Accentum」シリーズに加わる新しいオープンイヤー型イヤホンです。What Hi-Fi? によると、同社にとっては初のクリップ型オープンイヤーイヤホンで、昨年の Accentum Open に続いて、オープンイヤー市場への取り組みをさらに強めた形です。
クリップ型オープンイヤーは、一般的なカナル型のように耳の穴へ差し込まず、耳の外側に沿わせるように装着します。耳を完全に塞がないため、音楽やポッドキャストを聴きながらでも周囲の気配を把握しやすいのが特徴です。通勤、家事、オフィス、ランニングなど、完全な遮音がむしろ邪魔になる場面に合っています。
Accentum Clipの主な特徴
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| タイプ | クリップ型オープンイヤー完全ワイヤレス |
| ドライバー | 12mmダイナミックドライバー |
| 重さ | 片側6.8g |
| 防塵防滴 | IP54 |
| バッテリー | 単体9時間 / ケース込み36時間 |
| 急速充電 | 10分で約2時間再生 |
| Bluetooth | Bluetooth接続対応 |
| コーデック | SBC / AAC / LDAC |
| その他 | マルチポイント、デュアルマイク、AIノイズ低減 |
スペックだけを見ると、単に「耳をふさがないイヤホン」ではなく、かなり現代的なワイヤレス機能を一通り押さえた製品です。特にLDAC対応は、オープンイヤーでも音質面を軽視していないことを示す材料としてわかりやすいポイントです。
音の方向性——オープンイヤーでも“薄く聞こえすぎない”を狙っている
ゼンハイザーが今回かなり意識しているのは、オープンイヤーでありがちな音の薄さをどう抑えるかだと思われます。What Hi-Fi? の記事では、12mmドライバーに加えてDynamic EQを搭載し、音量にかかわらずバランスを保ちやすくすると説明されています。
オープンイヤー型は構造上、どうしても低音の量感や密度感で不利になりやすいジャンルです。耳を密閉しない以上、それは避けにくい面があります。だからこそ、ドライバーの大きさや補正技術でどこまで“聴き応え”を作るかが重要になります。Accentum Clipは、その弱点を真正面から補おうとしている製品だと見てよさそうです。
装着感と使い勝手——“ながら聴き”を日常化しやすい設計
クリップ型の大きな利点は、安定感と圧迫感のバランスです。Accentum Clipは柔軟なシリコンブリッジで耳に沿わせる構造を採用しており、T3やCincoDíasでも、BoseやHuaweiのクリップ型に近い装着思想だと紹介されています。片側6.8gという軽さもあり、長時間でも負担を抑えやすそうです。
また、IP54対応なので、汗や軽い雨を気にする通勤やウォーキング用途とも相性がよさそうです。完全なスポーツ特化というより、日常生活の延長線にある軽運動や移動に強いタイプと考えるとイメージしやすいと思います。
通話・接続まわりも今どき仕様
Accentum Clipは、音楽用途だけでなく、リモート会議や通話も強く意識した構成になっています。デュアルマイクに加えて、AIベースのノイズ低減機能を組み合わせることで、周囲の雑音から声を分離しやすくしているとのことです。
さらにBluetooth接続とマルチポイント対応で、スマホとPCをまたいで使うような今の働き方にも合わせやすくなっています。オープンイヤー型が増えている背景には、単なる音楽リスニングだけでなく、“生活と作業の中でずっと付けていられる道具”としての需要があるのだと感じます。
発売時期と価格感
What Hi-Fi? と T3 によると、Accentum Clipの発売日は2026年7月23日。価格は149ポンド / 179ユーロ / 290豪ドル前後と案内されています。T3ではブラック、クリーム、アイスブルーの3色展開に触れていますが、What Hi-Fi? ではブラックとクリームの2色表記でした。地域によって案内色が異なる可能性もあるため、国内展開時の正式仕様は確認したいところです。
価格帯としては、完全な入門機よりは少し上ですが、ゼンハイザーのブランドと仕様を考えると、プレミアムすぎる設定でもありません。オープンイヤー市場の中では、“日常使いを前提にした中堅どころの本命候補”として見られそうです。
なぜ今オープンイヤー製品が増えているのか
長時間装着のニーズが増えたから
在宅勤務、ハイブリッドワーク、オンライン会議、移動中の音声コンテンツ視聴などで、イヤホンを付けている時間は明らかに長くなりました。その結果、音質だけでなく、耳が疲れにくいこと、蒸れにくいこと、圧迫感が少ないことの価値が上がっています。
カナル型は没入感に優れますが、長時間では疲れるという人もいます。オープンイヤーはその逆で、遮音は弱い代わりに、長く使っても息苦しさが出にくい。ここが支持を広げている大きな理由の一つだと思います。
“周囲の音も聞こえる安心感”が評価されているから
通勤中、街中の徒歩移動、ランニング、育児や家事の最中など、完全に外音を遮断したくない場面は意外と多いです。オープンイヤー型は、音楽を流しつつも、アナウンスや呼びかけ、車の接近音などを拾いやすいので、便利さと安心感のバランスを取りやすい製品として広がっています。
音質面の弱点が少しずつ改善してきたから
以前のオープンイヤー製品は、どうしても「便利だけど音は物足りない」と見られがちでした。ですが最近は、ドライバーの改善、DSP補正、指向性の工夫、アプリでの最適化などで、ながら聴き用としては十分以上と思える製品が増えています。Accentum Clipもまさに、その流れの中で出てきた一台です。
まとめ——Accentum Clipは、オープンイヤー市場の本格化を示す一台
Accentum Clipは、ゼンハイザーがオープンイヤー市場を“補助的なカテゴリ”ではなく、しっかり取りにきたことが伝わる製品です。クリップ型の安定感、12mmドライバー、Dynamic EQ、LDAC、長めのバッテリー、AI通話補正と、必要な要素をかなり丁寧に詰めています。
そしてこの製品が面白いのは、単に新製品だからではなく、オープンイヤーが一時的な流行ではなく、日常の定番候補になりつつあることを象徴している点です。比較記事はまた別で作るにしても、まず単体で見るだけでも、Accentum Clipはかなり気になる存在だと思います。



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