「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」で、サカナクションが全78部門のうち最多となる8部門を受賞しました。アニメ『チ。―地球の運動について―』の主題歌「怪獣」を中心に、楽曲・映像・ライブのスタッフ部門まで幅広く評価された結果です。山口一郎さんの長期休養を乗り越えての快挙であり、さらに2012年の楽曲「夜の踊り子」が14年の時を超えて再ブレイクするなど、いまサカナクションに大きな注目が集まっています。この記事では、デビューからの歩み、休養と復活、そして“チームサカナクション”の魅力を深掘りします。
この記事のポイント
- MUSIC AWARDS JAPAN 2026で最多8部門を受賞——楽曲からライブのスタッフ賞まで幅広く評価されました
- 「怪獣」はアニメ『チ。』の主題歌——バンド初のアニメ主題歌での受賞です
- 山口一郎さんの休養から復活——うつと向き合いながら制作した楽曲が大きな評価を得ました
- 「夜の踊り子」が14年越しに再ブレイク——海外発のミーム動画をきっかけに大ヒットしました
- デビューからの歴史と、演奏以外のスタッフも称えられる魅力を整理します
サカナクションとは——札幌発の5人組ロックバンド
サカナクションは、北海道・札幌を拠点に活動を始めた5人組ロックバンドです。2007年5月9日にアルバム『GO TO THE FUTURE』でメジャーデビューしました。バンド名は「魚(さかな)」と「アクション」を掛け合わせた造語で、ありふれた言葉に新しい意味を持たせたいという思いが込められています。
メンバーは、山口一郎さん(ボーカル・ギター)、岩寺基晴さん(ギター)、草刈愛美さん(ベース)、岡崎英美さん(キーボード)、江島啓一さん(ドラム)の5人です。ロックバンドの編成にシンセサイザーや打ち込みを大胆に取り入れ、バンドサウンドとエレクトロニックミュージックを融合させた独自のスタイルで知られています。
ディスコグラフィー——これまでの7作
メジャーデビュー以降、サカナクションは7作のオリジナルアルバムを発表してきました。作品ごとに音楽性を更新し続けてきた歩みが見て取れます。
| リリース年 | アルバムタイトル |
|---|---|
| 2007年 | GO TO THE FUTURE(デビュー作) |
| 2008年 | NIGHT FISHING |
| 2009年 | シンシロ |
| 2010年 | kikUUiki |
| 2011年 | DocumentaLy |
| 2013年 | sakanaction |
| 2019年 | 834.194 |
「アイデンティティ」「ルーキー」「ミュージック」「新宝島」など、各時代を代表する楽曲を世に送り出し、フェスでも欠かせない存在として支持を集めてきました。
「夜の踊り子」が14年越しに再ブレイク
2012年にリリースされた楽曲「夜の踊り子」が、2026年に思わぬ形で再び大きな脚光を浴びました。きっかけは、インドネシアの伝統的なボートレース「パチュ・ジャルール」で、漕ぎ手を鼓舞するために船首で踊る少年の映像です。この“ボート少年”の動画に「夜の踊り子」を重ねたミーム動画がアジアを中心に国内外で大流行しました。
用語ミニ解説
- パチュ・ジャルール——インドネシアに伝わる伝統的なボートレースです。船首で踊る漕ぎ手の少年が世界的に話題になりました
- ミーム動画——同じネタや構成をまねて次々と作られ、SNSで拡散していく短い動画のことです
「サビが来そうで来ない」独特の構成も面白がられ、楽曲はストリーミングで再び大きく伸び、2026年5月28日にはオリコンのストリーミング部門で2週連続1位を記録しました。リリース当時はオリコンのシングルチャートで初週5位が最高でしたが、14年の時を超えて頂点に立ったことになります。過去の楽曲がSNSをきっかけに再評価される、いまの音楽の面白さを象徴する出来事といえそうです。
山口一郎さんの休養と、「怪獣」での復活
順風満帆に見えるサカナクションですが、ここに至るまでには大きな試練がありました。バンドの中心人物である山口一郎さんが体調を崩し、2022年7月からライブ活動を休止したのです。山口さんは当初、自身の不調の原因が分からず苦しみましたが、のちにうつ病であることを公表しています。
約2年の休養を経て、サカナクションは2024年に活動を再開しました。同年4月には幕張メッセでアリーナツアーの初日を迎え、ファンの前に帰ってきます。その復活の過程は、NHKのドキュメンタリー番組でも丁寧に追われ、大きな反響を呼びました。
そして生まれたのが「怪獣」です。NHKアニメ『チ。―地球の運動について―』の主題歌として2024年10月から放送され、サカナクションにとって初めてのアニメ主題歌となりました。山口さんがうつと向き合いながら書き上げた歌には、もがきながらも前へ進もうとする力強さが宿っており、2025年を代表する1曲として広く愛される存在になりました。
MUSIC AWARDS JAPAN 2026で最多8部門を受賞
こうした歩みが結実したのが、2026年6月13日に開催された「MUSIC AWARDS JAPAN 2026」での最多8部門受賞です。全78部門のなかで、1組としては最も多い受賞数となりました。受賞部門は以下のとおりです。
| 部門 | 対象 |
|---|---|
| 最優秀楽曲賞 | 怪獣 |
| 最優秀ロック楽曲賞 | 怪獣 |
| 最優秀アニメ楽曲賞 | 怪獣 |
| 最優秀ミュージックビデオ作品賞 | 怪獣 |
| 最優秀アートワーク賞(日本グラフィックデザイン協会) | 怪獣 |
| 最優秀ライブ照明スタッフ賞 | SAKANAQUARIUM 2025「怪獣」 |
| 最優秀ライブ音響スタッフ賞 | SAKANAQUARIUM 2025「怪獣」 |
| 最優秀ロックバンド/ソロアーティスト賞 | サカナクション |
山口さんは受賞に際して「まだまだ頑張れると勇気をもらった」とコメントしています。休養という苦しい時期を越えての評価だけに、その言葉の重みが伝わってきます。
“チームサカナクション”——スタッフも称えられる稀有なバンド
今回の8部門受賞で特に注目したいのが、ライブ照明・ライブ音響というスタッフ部門を受賞している点です。サカナクションは以前から、照明・映像・音響にまで徹底的にこだわった一体型のライブで知られており、演奏するメンバーだけでなく、その世界観を支えるスタッフも含めた“チーム”として高く評価されてきました。
MUSIC AWARDS JAPANは、アーティストだけでなく裏方のスタッフにも光を当てる珍しい音楽賞です(受賞結果まとめの記事はこちら)。その理念とサカナクションの“チームでつくる音楽体験”という姿勢が、見事に重なった受賞だったといえるのではないでしょうか。
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まとめ
サカナクションは、デビューから独自の音楽性を磨き続け、休養という大きな試練を越えて「怪獣」で力強く復活しました。そこに14年越しの「夜の踊り子」再ブレイクが重なり、MUSIC AWARDS JAPAN 2026での最多8部門受賞という形で大きく報われました。演奏する5人だけでなく、ライブを支えるスタッフまで含めて評価されたことは、“チームサカナクション”の魅力をあらためて感じさせてくれます。これからの活動も楽しみにしたいですね。



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